元ヤクルトスワローズのデニングが僕の頭をなでるワケ
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記<13>
愛媛マンダリンパイレーツにある、野球に対する雰囲気。それを支える選手たち
40歳にして四国アイランドリーグで「プロデビュー」を果たした芸人・杉浦双亮の独占手記。独立リーグの現状が垣間見れます。
嬉しい登板、悔しい登板
シーズンが開幕して一カ月半近くなろうとしている。
僕自身は、この連載のあいまに2試合投げる機会をもらったのだけれど、嬉しい経験と悔しい経験をした貴重な2試合になった。
嬉しい経験ができたのは最初の試合。4月28日の福岡ソフトバンクホークス三軍との交流戦のこと。7対0とリードした9回2アウトからマウンドに上がり、ヒットを打たれたけれど、次の打者をセンターフライに打ち取り、試合を締くくることができた。試合後、ウイニングボールをもらったのだけれど、そこには「非公認セーブ」と書かれてあった。チームの気持ちが嬉しかった。
悔しい経験はその次の登板となった高知ファイティングドックス戦。この試合は6対1で勝っている最終回の頭からマウンドに上がる。実は、数少ないテレビ中継がある日で、いっそう気持ちが入っていたのだけれど、結果がついてこなかった。先頭のラシーナ選手にセンター前ヒットを打たれると、次の打者はショートゴロがイレギュラーし出塁を許し(記録はエラー)、ノーアウト1、2塁。ここで降板となってしまった。結局、チームの新ストッパーである柴田健斗投手が後続を打ち取ってくれてチームは勝つことができたけれど、悔しさでいっぱいだった。最後まで投げられなかったことはもちろん、ストッパーである柴田投手をマウンドに上げる展開にしてしまったこと、そしてなにより――エラーというのは投手のリズムが影響しているとずっと思い続けているので――、投球のリズムの悪さがピンチを招いてしまったことが悔しかった。リズムなどは技術がなくても作ることができるはず。できることができなかったのは、僕の至らなさだ。簡単にはいかないな。そう感じた。
そんななかではあるけど、チームは好調を維持している。所属する愛媛マンダリンパイレーツは10勝5敗1分で首位(5月4日現在)。優勝を果たした昨シーズンは同じ時期の連休で6連敗を喫してしまったから、今年はそれがないよう試合に集中していく、というチームの方針のもと一致団結して乗り越えられている。チームワークも良くて、先のウイニングボールの件が象徴しているけれど、とてもいい雰囲気なのだ。
今回は、そんなチームについて少し書かせてもらいたい。魅力的な選手がたくさんいるし、野球の素晴らしさを体現しているシーンも多々ある。少しでも、愛媛マンダリンパイレーツの魅力が伝わってほしいと思う。